サボっていたポルトガル語学習。再開のきっかけと新しい出会い。

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しばらく遠ざかっていたポルトガル語の勉強を、もう一度始めることにしました。きっかけは色々あるけれど、一番大きかったのは日本語を学ぶブラジル人の夫の姿です。

 

彼は会社員のかたわら、夜間大学へ通っています。日本語教師になるためのコースを専攻しているので、日本語そのものに加えて、言語学や教育心理学・日本の歴史等、多岐にわたって日々勉強しています。「私はそんなに努力できないな」と、いつも感心し、傍観していました。

 

ある朝、ご飯を食べている時に、彼が私に言ってきました。「今夜の授業の宿題で作文したから、間違いがないか聞いてくれない?」そう言って昨夜準備していた文章を読み上げました。

 
 

「わたしの 妻の ご両親は 静かで 美しい街に くらしています」

 

「旅行の話をしなさい」というお題に対して、日本行きを予定していることをつづった文章のうちの一つの文章が、思いのほか心に残るものでした。私の親のことを「ご両親」と言ってくれたこと、生まれ育った町を「静かで美しい」と表してくれたこと。

 

手前味噌で恐縮ですが、日本人が親とどういう関係を築いているのか、私がどんな国からブラジルへ来たのか。語学をただ習うだけでは分からないものがあります。彼が日々の忙しさにも負けず、コツコツとカリキュラムをこなしてきた月日が、たった一つの文章にしっかりと反映されているようでした。

正しさを求めるあまりに、実生活を楽しむことを忘れてしまっては本末転倒。しかし「その人が真摯に学んでいるか?」そんなコトが会話の端々ににじみ出るのが「語学学習」の真実でもあります。フリをしたってバレるし、努力は決して裏切らない。

 

 

夫の姿を見ながら、わが身を振り返っていた矢先、ポルトガル語の先生に出会いました。

ブラジリアでは、マンションの一階が吹き抜けになっています。そこは日陰で風が良く通って、涼むのにちょうどいいスペース。そこで、ある日の午前中、若い女性が子ども達に英語のレッスンをしていました。

 

今にも踊りだしそうなほど元気いっぱいの子ども達に、“Sit down! Repeat after me!”と一生懸命に教える若い先生。その光景がいかにもブラジルらしい。大らかで明るくて、思わずほほ笑んでしまうような気持ちよさがあります。

 

遠目で眺めているうちにハッ!としました。「そうだ、あの先生にポルトガル語を教えてもらおう!」ちょっとしたしぐさから、その若い先生の真面目さや真摯な姿が伝わってきたし、家の下の吹き抜けスペースでリラックスしながら勉強できたら楽しそう!

 

早速家に戻り、自分の名前と電話番号を紙にメモし、もう一度英語のレッスンの場所へ戻りました。「授業の邪魔をしてごめんなさい」と一声かけて、私はポルトガル語を学びたいこと、よかったら後でこの番号へ連絡をしてほしいと告げました。

 

数時間後、彼女からメールが届いて、授業をしてくれることになりました。聞けば、彼女のお姉さんが私たちと同じマンションに住んでいて、彼女はよく訪ねてきているそう。近隣の大学に通う20歳の女性です。

 

私も、英語を学ぶ子どもたちのように、活き活きと学べたら楽しそう!アカデミックな夫とは全然異なるアプローチですが、私は私に合った環境で学びを続けていきたいと思います。中断をした自分を少々残念に感じていたところ、もう一度再スタートです。

 

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