【これからの畑のつながり方】野菜ボックスとCSA(3)完結編
こんにちは。梅雨の合間の、爽やかな青空の下、
今日も実家に住んでるAkikoです。
先週までは、両親のブドウ畑の手伝いをしていたのですが、今週はお手伝いお休みです。というのも、今週の作業は「素人には頼めないものだから。」だそうで、そう言い放った母が何だかかっこ良く見えました(笑)。他の仕事と同様、農業も知識と経験と熟練の技が必要で、素人が触らせてもらえない部分もあります。
という訳で、私は私のできることをしています。
前回までに、「農家で食べてる野菜を、都会の友人に送っています。」ということと、アメリカで触れたCSA(Community Supported Agriculture)という仕組みの紹介をしました。
それらをふまえて、ここでは、私がやっている「野菜ボックスの成り立ち」をシェアしたいと思います。
- 田舎に暮らしながら、何か新しいことを始めたい
- 都会で暮らしているけれど、畑から直送の農作物が欲しい
- 子どもに自然と触れる体験をさせたい
↑こんな方々に、特に読んで頂きたいです。
最初にお伝えしたいのですが、私は学問とか研究とかはしていなくて、自分の体験に基づいて膨らませた考えを書きます。そのため、とても視野の狭いことを書いていると思います。ここは発展させていきたい部分で、それは色んな人とディスカッションをしながら、また私で考えて〜というやり方を取りたいので、だから今は未熟ですけど、私のままで書きます。
目次
提案します!CSAの一つの形としての「野菜ボックス」
何かを始める時は、小さな一歩を重ねた方が良いと考えます。CSAはとても面白くて意味のある取組みですが、賛同者が必要です。私にはまだCSAのことを共有し合える人がいません。
そこで、CSAを小刻みにした単位としての「野菜ボックス」を提案します。
野菜ボックスを実現するにはは、「ファーマー(生産者)」と「メンバー(購入者)」両者の橋渡し役となる「ブリッジさん」の三者が必要です。
「ファーマー」と「メンバー」が入れば、できちゃうんじゃないの?と思われるかも知れません。商売ならそうかもしれません。でも、CSA的野菜ボックスには、間に入る「ブリッジさん」がポイントとなります。なぜならば、ファーマーとメンバーの感覚には基本的に差があるからです。
野菜ボックスでは、農作物を届けることに加え、「畑にまつわるストーリー」を共有することも、一つ大きな軸となります。「今年は雨が多いので、こんな風に育ちました」「これは、農家ではこういう風に食べます」など、ファーマーではとるにたらない小話こそ、メンバーには新鮮でそのまま食育の機会になったりもします。
逆もしかり。メンバーからの「こんな野菜は普段は買わないので、新しい料理に挑戦しています。」といったフィードバックこそが、ファーマーにとっては視野が広がる機会になります。新聞やテレビで、離れた場所で繰り広げられている今のトレンドを知ることはできますが、メンバーからの直接の反応をもって初めて、自分達のこととしての実感を得られます。
両者に差があるからこそ、宝物が生まれるし、発見する機会がなければそれは埋もれます。場合によっては「すれ違い」となり、せっかくの出会いを存分に活かせない結果にもなり得ます。
「売る人」と「買う人」だけの関係であれば、両者の「期待値」つまり「○○円支払うから、これくらいの価値を手に入れたい」が一致します。しかし市場とは別の価値を見いだすCSAでは、期待値もはっきり明示することはむずかしく、そこに面白みがあります。そして、関わるみんながそのコンセプトを共有する努力が必要です。
それでは、三者それぞれの野菜ボックスとの関わり方を見て行きます。
ファーマーにとっての「野菜ボックス」
ファーマーは、市場に出荷して現金を得るための【収入源としての作物】と、家族や自分達が【食べるための作物】と2本柱で農業をしている方を想定しています。
ファーマーの暮らしにおいては、家族や親戚、親しい友人などに作物の「お裾分け」をする習慣が日常的にあります。お裾分けするのは、【収入源としての作物】のうち、規格外(※)という理由で市場に出さないものや、【食べるための作物】です。動機としては「沢山採れたから」「いつもお世話になっているから」などです。
(※)大きさや色味、糖度が基準に達していないものなど。
このお裾分け先の一つとして、野菜ボックスのメンバーを位置づけます。そうすると、野菜ボックスの中身は、「農家が普段食べているもの」になります。規格外のものや、生育途中の間引き菜なども入ります。それらには、「畑のストーリー」がまとわります。
メンバーにとっての「野菜ボックス」
メンバーが農作物を得る方法は、沢山あります。八百屋やスーパー等で購入したり、家庭菜園をしている方もいらっしゃるでしょう。それらの手段の一つとして、農家からのお裾分けという感じの「野菜ボックス」が加わります。どんな畑でだれがつくっているのか、顔の見える関係性が生活に加わります。
ブリッジさん
ブリッジさんは、ファーマーとメンバー、どちらともコミュニケーションを取り、両者の感覚の差を察知し、調整します。都会と田舎の両方で暮らした経験がある事が望ましいです。(めちゃくちゃ、自分自身を重ねていますっ!)
例えば、白菜を送る場合、ファーマーは「たくさん送った方が、喜ばれるだろう。」とサービス精神で考えると思います。その根底には、ファーマーの畑には何十個も白菜が植わっているし、お家もとても広いという事実から成るファーマーの感覚があります。
一方、都会で暮らす場合、白菜が一度に2玉送られてきたら、嬉しいけれど本当に困ると思います。まず、野菜を置くスペースが限られています。田舎のように「家の外にちょっとの間置いておこう」ということが、都会では全くできません。
日が暮れて暗くなれば畑仕事はストップするので、帰宅し、夜ご飯を毎日自炊をすることは、ファーマーにとっては当たり前です。
一方、ビルの中で仕事をし、日常的に夜遅くまで働くメンバーは多いでしょう。忙しい時期は夕飯はデスクでプロテインバーをかじって済ませたり、自炊する機会がなかなか取れず、食材を余らせてしまうという事実は、ファーマーには想像しがたいものでもあります。
こういう点を配慮して、ブリッジさんは野菜ボックスに詰める量や、日持ちするもの/新鮮なうちに食べるものの比率などを考えます。ファーマーとメンバーの両者が野菜ボックスを楽しむために、ブリッジさんは必要なのです。
販売ではなく、シェア(共有)がポイント
野菜ボックスは、お金を介してやり取りをしますが、「販売」することとはちょっと感覚が違います。これは私の苦い経験があります。
野菜ボックスは、無償と有償で実施したことがあります。第一回目はテストという意味もあり無償でした。やってみて、梱包やこまごました手間があることがわかり、無償だと続けられないなと思いました。
次に有償でやりました。その時は私がブリッジ役として、5名のファーマーの協力を得て実施しました。その時に「ファーマーにお金を還元できるように、お金を稼ぎたい!」という気持ちが強くありました。
でもファーマーは「売るために作っているものでないのだから、お金は要らないよ〜。」とみんながみんな言いました。結果としては、購入者から頂いたお金を私からファーマーに押し付けるようにして、お金を受け取って頂きました。そんなことをしているうちに、私には悩みが生じました。
ただ家族を思ってつくっている作物に、私が値段をつけることへの違和感。
例えば、2,000円と値段をつけた時点で、私はその作物に2,000円の価値しか感じていない、というメッセージを送っているようにも思えました。
市場での価値と、このCSA的野菜ボックスの価値は同じテーブルには並べられないものだと分かった経験です。
それで、この時の野菜ボックスには、「お金を稼ぐ」「儲ける」を重視しないこと。「楽しい!と思えることを選択する」とそれだけに集中するように勤めました。
具体的には、
- トマトが美味しくなる時期まで、友人には待ってもらいました。
- 野菜一つ一つに、短いコメント付きのメモを添えました。結果として、最初に依頼をもらってから1ヶ月以上待ってもらい、発送時には2箱梱包するのに3時間かかりました。ですが時間と手間を惜しみませんでした、そうする方が楽しかったからです。お金も頂きましたが、原価計算もほどほどに、私が「いいな!」と思う値段をつけました。
知人は「とても安いね、ちゃんとマージンを取ってね」とも言い、さらに商品代以外にもお菓子を送って下さいました。
フランスのお菓子、フランス人の旦那様が選んでくれたそうです。広島には店舗がないジョエルロブション。私たちを気遣ってくれたことが伝わって、とても嬉しかったです(^^)
買い手に気を遣わせてしまっているので、価格決定については改善の余地が残っていますが、「楽しい!」という心地よさをみんなで共有できたという意味では成功!と考えています。
最後に、私の想い
私は大学進学と同時に上京して、就職も合わせて通算で14年東京にいました。以前は「家業を継いでいない」状況を家族に申し訳なくも思っていました。東京に住んでいる時には、実家の野菜を東京で売っている活動に参加したり、農林水産関係の職に転職したりと、試行錯誤しながらも、考えれば考えるほど、「継ぐこと」は私の答えではありませんでした。
その経験を経て、今思うことは、
家業を継ぐということは、すごく尊いことです。
田舎にいて、守る山や土地があると本当にそう思います。
一方で、家業に縛られずに、自分の道を行くこと。
それも同じくらい尊い、ということことです。
家族や実家のある山間地の環境は大好きですが、両親と同じ形をとらなくとも、私は私の考えを体現すればいいし、それしかできないな、と思っています。
それは、私の両親は、そういえば二人とも農学部、園芸学部卒業で、
そもそも「農業が好き」な人たちだった!とある時、気がついたことも大きいです。
「継げなくて申し訳ない」と思っていたのは私の勝手な思い込みで、
思い起こせば、私の両親は「好きな生き方をしてくれ」ということしか言いませんでした。
「好き」を仕事にしている両親が、育てた作物を食べて育った私です。
友人には子育てをしている人も沢山います。みんなの子どもはとてもかわいいです。
その子達が、都会で生まれ育つと、畑がどんなところかを知る機会がなくて、「ただあなたが食べる為に作られたもの」に触れることがなくて、お店で陳列された農作物しか知らずに育つ可能性もあるんだな、ということに、私はとても違和感を覚えます。
少子高齢化で、先細りに見える農村地帯で農業をしている私の両親は、お裾分け仲間とともに、とても豊かに暮らしています。なかなか豊かな暮らしがここにあるから、うまく循環させて輪を拡げたら面白いだろうな、と思っています。そういうことがCSA的野菜ボックスのベースとなっています。
私のような境遇の方と、この輪を全国に拡げられたら楽しいなと思います。次の世代に、一つの選択肢を増やしたい、と考えています。
以上、長くなり、さらに乱文になりましたが、
お付き合い下さいまして、ありがとうございました!!!
(6/15追記)
ブリッジさん募集!
「CSA的野菜ボックスをやってみたい!」と思われる「ブリッジさん」を募集します。「我こそは!」と思われる方、または「できるか、できないか分からないけれど、やってみたい」という方、facebookのSLEEPY CITY BUGSのページにコメントをください。7月〜8月のうちに、一度野菜ボックスを実施できるように、サポートします。
SLEEPY CITY BUGS facebookページ →★コチラ★
募集期間は6/15(水)〜6/26(日)17時。2名募集します。先着順ではなく一旦スカイプやLINE、お電話等で、話し合う機会を設けたうえで、お互いに納得できる方とやりたいです。報酬は、お金も欲しいんですけど、いくら欲しいかちょっと自分でも今は分からなくて、保留とします(それもお話合いの中で。)が、ブリッジさんが作る野菜ボックスは、私も欲しいので送ってください(^^)/
面倒くさいですよね、このやり方!笑
でも、こういう感じを楽しめるという感覚が、ここには書けなかったのですが実はとっても大事なので、この感じでいきます。
「というか、お前は誰だ!?」Akikoのプロフィールは気になる方は、こちらをお読みください→ABOUT
改めて、長文をお読み下さりありがとうございました♡
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Akiko Y. Perfeito
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