ここにいる理由

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ブラジルに来て、彼と一緒に暮らし始めて1ヶ月程経ったある夜、

台所で、夕飯の準備だか片付けだかをしていた時に、ハタと気がついた。

“私がここ(ブラジル)にいる理由は、愛しかない。”

、、、。

うわぁー、マジだー、そうだー、愛だー。。。

何を言っているんだ、自分。と思いつつも、それは確実にそうで、
何だか血の気が引くような、冷や汗が背筋をつたう様な、
静かで、確かな突然の気付きでした。

私、ブラジルで産まれていない。
ここの言葉(ポルトガル語)も全然分からないし、勉強したこともない。
会社の都合などでもないし、誰に頼まれたわけでもない。
ブラジルという国に、自分から興味を持った事もない。
(ワールドカップの時期でも、”ネイマールって何だろう?”って思っていた。)

地球の反対側に、この人生で行く事があるなんて、思った事もなかった。

でも私、30歳の時に東京で彼に会って、とても気が合った。
将来的に彼とは“パートナー”としてやってみようと。
だったらパートナーの住んでる土地ぐらい、見ておこうと思ったらば、
その彼は、地球の反対側に住む人だった。
仕事に不満はなかったが、会社員だと、ここに様子を見にくるための休暇がとれない。最低でも2週間は欲しかったけど、2週間の休暇は取れそうになかった。
だから、私、会社を辞めた。
それで、ここに来た。
それだけだ。

ことばだと、それだけ、なんだなぁ(自分にしばし呆然)、、、。

彼に、打ち明けてみた。
「あのさ、今気がついたんだけど、
私がここに存在している理由って、愛しかないんだけど。」
「そうだよ。」
と、彼は言った。あ、知ってた系。

「それに、僕がここに君と一緒に暮らす理由も、愛しかない。」
と、彼は言った。

がーん、
「ブルータス、お前もか。」か!

そんで、私はうれしくなって、”L.O.V.E” という歌を
下手なくせにおおきなこえで彼に歌って、

「何か、動物の鳴き声の物まねでもしてるの?」

って、冷ややかな返しコメントを頂いた。

そんで、2人で笑った。

私の母や、友人らは、既に結婚している人が多い。

今やってる仕事を辞める。旦那さんや奥さんの住む場所に引っ越す。
一度も住んだ事がない土地でも、引っ越す。

相手の実家の家業を一緒に継ぐ人もいる。
旦那さんの夢に付き添って、起業する人もいる。

そういう行動の理由って、愛に満ちているんだなぁ。

私が今までしてきた行動の理由は、「新しいものに出会う」「自分の能力を磨く」「やってみたかったことをやる」ということに尽きる。
進学、就職、転職、英会話など。自分の欲求を思う存分に満たして来た。

今回「ブラジルに行く」っていうのは、今までとまったく違うことだったと、決めて半年くらい経って、概要がつかめてきました。

自分がやってることがいったい何なのか、はっきりとは分からないけれど、
自分はこれをやるんだな、という事だけは分かる。

やり続けていると、いつかのタイミングで、それに見合う言葉があとでおいついて、頭でも理解できると、心と身体がここちよくおちつくようです。

愛なんという言葉は、つかみどころが難しいけれど、
「こういう気持ちや空気感を、愛と呼ぶのか」ということが、
ふにおちることが、さいきんあります。

実際には、洗濯したり、食材の買い出しをしたり、残りものをアレンジして料理をしたり、細々とした暮らしですが、今日という日が楽しくて、飽きるまであと何百回も繰り返しやりたいほど、気に入っています。
 
‐‐‐
これは、2015年5月21日に書いた記事です。この時は観光ビザで初めてブラジルに来ました。合計6か月滞在しました。
その後、一度日本へ帰国して結婚手続きを済ませ、今は永住ビザでブラジルに住んでいます。
 

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