彼のもとへ嫁ぐあなたは、自分自身をかわいそうにしてはいけない。
結婚をして旦那さんのところへ「嫁ぐ」という行為。
やってみるまではどこか淡い美しさのあるイメージだったけれど、
やってみるとなんて人間の本能に歯向かう行為なのだろうか!と思った。
今まで培ってきた、自分の輪郭となるもの、
- 人間関係
- なじみの店
- お気に入りの場所
こういうものを一切残して、いわば我が身一つで彼の本拠地へ飛び込むのだ。
そう、嫁ぎ先とは、 彼にとっては仕事があり人間関係があり責任があり、そして人から必要とされる大きく根を張ったホーム。愛着もわくでしょう。
だが私にとってはアウェイなのだ。
彼はわたしにとって世界で一番の味方、最愛のパートナーである。
いくらこの街が私にとってアウェイだとしても、2人で住む小さなわが家に帰れば、ここに私の居場所がある。
だがしかし。
その彼と私の間に分かり合えないことがあった時、私が安らげるい居場所はその瞬間に幻と消える。
この街のどこにも私が言いたいことを分かってくれる人がいない。
絶望的になって、ひいてはブラジルという大国を一瞬でキライになれてしまう。
心が寂しいって、
すごい破壊力だ。
彼とは基本仲良くやっている。
私の凸凹な性格をおおらかに包んでくれる、良い人みつけたなーと自分でも思うほどだ。
だがしかし。
そんな彼も生きた生身の人間で。
何かでせっぱつまっているときもある。
今朝はまだコーヒー飲んでないのかもしれない。(コーヒー飲んでから一日が始まるらしい)
そんなことをつゆとも知らないときに、私がいつものようにアホなことほざいたりすると、
痛い目に合う。
私・「ねぇねぇ、たまご買ってきてくれた?」
夫・「あぁっ?!」
ヒェッ!!!!
そう、彼は聞き返すときたまに 「あぁっ?」という。
私には脅されているようでビビる。
でも彼にとってはそんな意図はない。
私・「いやだからさ、今日たまご買ってきてくれたかなーと思って」
夫・「いったい何の話してるの?!」
ヒェッ!!!!
“What are you talking about?”って実際には言われたんだけれど、大きめな声で言われてみると、結構冷たく感じる。
「あぁっ?!」
って聞き返されると、
あぁ、私はきっとバカなんだ。 バカだから、彼をイラつかせてしまったんだ。と悲しくなったり、ある時は、
「あぁっ?」ってなんだよ。なんでそんな言い方されなきゃいけないんだよ! 私の方が「あぁっ?」だよ!と丁寧に扱われなかったことに、腹が立ったりした。
でも街の中を見渡してみると、別の可能性が見えてきた。
ある日、ドラッグストアのレジで会計をしているとき、「ポイントカード持ってますか?」と聞かれ、私は持っていないし作りたくないと言った。
で、そこでレジのお姉さんが言ったのは、まさかの
「あぁっ?!」
だった。
、、、ガーン。
私、客で、今からお金支払おうとしてるのに、何でヤンキーにガンつけられてるような気持ちにならなきゃいけないんだ。。。
とても情けない気持ちで、今すぐ薬局を飛び出したかったし、この街に住む人すべてを否定したかった。私はこんなところにいたい訳じゃない!
でも待てよ、と。
あのヤンキーちっくな「あぁっ?」であるが、我が夫も言えば、薬局のお姉さんも言う。
私がアホで相手をイラつかせているのかもしれないが、おそらくそうではなくて、、、、
彼らは何にも考えずに使ってるんじゃないだろうか?!
あぁ、そうなのかもしれない。
ほら、英語であいづち打つときに、「アーハー」(語尾を高くあげる)ってあるじゃないか。
あれに意図なんてない、ただ「聞いてますよ」とか「そうですね」くらいの何てことないアシストなだけ。
ブラジルで浴びせられた 「あぁっ?」もそれくらいのものなのかもしれない。
ただ私のホームでヤンキーが発する言葉と同じ音だったというだけで。
あぁ、なんだきっとそうだよ。あーびっくりした!
嫁ぎ先の文化に慣れるまでに、
こんな一人芝居を何度も繰り返した。
分かったと思ったら、また大波に飲まれる。
嫁ぐというのは、忙しいいそがしいサーフィンの日々や!
ただその後、薬局のお姉さんは夫への、私の態度は異なった。
薬局の人はいいよ、好きなだけ言ってくださいよ、はいどうぞ 「あぁっ?」
でも夫に言われるのはやっぱりいい気分がしない。
「あなたにとっては何てことないことでも、私はやっぱりそのサウンドにビビるし、いい気分はしないのよ。」夫にはこう強く伝える。相手を正当化して、自分が悪かったんだなんて思ってはいけない。私たちは対等なのだ。
相手を変えられないとしても、自分が感じたことは素直に相手に伝えたらいい。
感じたことに間違いなんてない。
それをどう活かすかは相手と私次第だが、嫌だと感じたことをひとりで飲み込んではいけない。そんなの私がかわいそうだからだ。
嫁ぐという行為は、なんて人間の本能に歯向かう行為なのだろうかと思う。
ふつうに考えて、ものすごいストレスだと思うよ。
だって、文化が違う、この街のどこに自分が好きなものがあるか分からない、知っている人が夫だけ。もしくは少々うざい夫の家族だけ。(うざいと感じるのも無理ない、まだそこまで自分に余裕がないのだ。)
あなたは嫁いだというだけで、既に大きなことを成し遂げているのである。
言い換えれば、大きなストレスにさらされているのである。
そんな中で それ以上、自分をかわいそうな立場にしてはいけない。
一番の味方である夫にもっとわがままをいっていい。
「あれ買ってきて」「マッサージ探して予約して」とかとか。
というか、それは人として当たり前の要求なだけで、わがままなんかじゃない身勝手じゃない。
それをサポートするのがパートナーとして当然だ。だって彼にとってここはホームなわけで。
この場所で活かせる能力を、彼は私よりいっぱい持っている。
そしてそれは彼もそう思っていて、実際にたくさんサポートしてくれている。それでも私は自分の感情にふたをしない。それとこれとは関係ない。
自分自身をかわいそうな立場に置いてはいけない。
夫が私に乱暴な言葉使いをすることを、許してはいけない。
私がその言葉にはビビってるということを、相手に伝えなければいけない。
そんな私と「生意気だ」とかわがままという男ならば、ごめんね私は無理だよ。
わたしという人間の尊厳を、わたしは守らなければいけないからさ。と思いながら。
自分を自分で受け止めてあげられる自尊心を結婚前に育てたから、そう思えた。
(例えば、プロに自分の写真を撮影してもらうなどして、育てた)
相手を愛する前に、まずは自分を優しい目で見てあげることの方がずっと大切。
ここができて初めて、他人と健全な関係を築けていくと思う。
そしてお互いに言い合うことで、徐々にお互いが変わっていく。
言うのもパートナーの仕事の一つと思って。
☆
そんな日々を積み重ねてきました。
もう大丈夫か、と思っても、ほら日々はサーフィンなので、今日も波はやってきます。
今日も夫にひょんなことで 「あぁっ?」と言われ、やさぐれたりしました(笑)
でも今ではイラっとすることこそあれど、ビビることはなくなりました。
「あいつ、今日うまくう〇こできんかったんやろ。だからイライラしとんやろ。しばらくほっとこ。」
結婚して2年が経ち、私はこんなことを思うようになりました。成長したのか、悪い方へいっちゃってるのか(笑)
最後、きたない話ですみません!(笑)
▼それでも言えない思いもある。2年間秘めた思いが成就した話▼
あき子
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