アメリカのオーガニック農場で過ごしたクリスマス

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2012年の10月から3ヶ月、アメリカ各地のオーガニック農場で住み込みながら手伝いをする旅に出ました。もう5年前の話です。

12月にはネバダ州のリノという都市にあるファームに約20日間滞在しました。そこで、アメリカならではなのか、オーガニック農場ならではなのか、とてもピースフルなクリスマスの体験をしました。この記事では、その時のことをご紹介したいと思います。

思い出話になりますが、よろしければおつきあいください。

ネバダ州のリノ

ネバダ州と聞いても馴染みのない方が多いかもしれません。ラスベガスがある州です。私が滞在していたのは、リノという街でした。ラスベガスとはいかないまでも、カジノが沢山ありました。

カジノがあるホテル。車の中から撮影。

 

12月中に何度もクリスマスパーティーがあった

私が滞在していたのは12月3日〜23日です。その期間中は、何度も何度もクリスマスパーティーがありました。

農場なので、朝はヤギの乳しぼりから始まります。

夕方まで畑仕事をしたら、18時には終わり。各自シャワーを浴びて、おめかしして、夜はクリスマスパーティーへ出かけていました。行き先はさまざまでした。

  • カジノのあるホテルでのサルサダンスパーティー
  • 地元の映画館でクリスマス特別で無料上映(ジャック・タチの「ぼくの伯父さん」を観ました)
  • 農場主が所属している園芸クラブのクリスマス会
  • 農場が主催するポットラック(持ち寄り)ディナー
  • ミリオネアの自宅のクリスマスイリュミネーションを眺めに行く笑

などなど。

農場主は70代の男性でしたが、おそらくヒッピーなんだと思います。誰よりもおしゃれをして、ガールフレンドと一緒に、若い研修生や私を連れ出してくれました。冬至の夜には、夜通しドラムを叩き、庭で炎を上げて踊る行事もやっていました。それには若干異様な雰囲気を感じたけれど、いつかどこかで聞きかじったヒッピーの文化なんだろうなと思いました。

街の映画館

ポットラックパーティーで配られたトリュフ

出かけない時は、オフィス兼住居である母屋で、クッキーやケーキを焼いたりしました。クッキーはスタッフの子ども達が遊びに来た時いっしょに焼きました。ケーキはスパイスや農場で採れたはちみつをふんだんに使ったもので、クリスマス前のCSA(※)の一部としてメンバーに配りました。

子ども達が焼いたクッキー

畑仕事の後にシャワーを浴びて、リラックスしながらケーキを大量に焼く。楽しかったです。

CSAメンバーへの受渡し。野菜に加えてケーキもプレゼントしました。

(※)CSA(シーエスエー)とは、Community Supported Agricultureの略で、農作物を、生産者から消費者へ直接に販売する手段のひとつです。詳しくは、過去に書いた記事がありますのでよければ読んでみてください。

>>【これからの畑のつながり方】野菜ボックスとCSA(2)

【これからの畑のつながり方】野菜ボックスとCSA(2)

 

オーガニック農場のクリスマス

12月の農場は、温室で野菜を育てる他に、クリスマスツリーになる木を山から調達してデコレーションをすることも仕事ひとつでした。

私の英語力ではあやふやなんですが、多分山から採って来たと言っていたと思う。農場に併設されたヨガスタジオのエントランス。

 

オフィスの飾り付けも仕事の一つ。楽しみながら。

 

雪の中の散歩

12月20日頃には、スタッフも研修生もクリスマス休暇として、各々の実家へ帰省していきました。みんな別の州から来ていたので、クリスマスを故郷にて家族や友達と過ごすのをとても楽しみにしていました。

農場主と数名のスタッフ、そして私は残された形で、クリスマスの直前はとても静かな数日を過ごしていました。ある日、朝起きたら雪が積もっていました。農場の仕事もそんなにないから、と農場主と散歩に行きました。

散歩中に目にしたのは、あの有名な曲 ”Walking in the Winter Wonder Land“そのもの景色!音楽を頭の中に響かせながら、自然の中を歩きました。とっても寒かったけれど、絵本の中のような景色に興奮して、とっても楽しかった!

川には野生のビーバーがいるそうです。

 

クリスマス・キャロルを体験

クリスマスも間近に迫ったある夜には、農場主が彼の友人宅でのホームパーティーへ連れて行ってくれました。友人というのは、ニューヨークからネバダへ移り住んだ30代〜40代くらいの夫婦でした。

彼らは電力を使わない生活をしていて、部屋の中はキャンドルと暖炉の炎だけで照らしていました。庭にはレタスなどの葉野菜を育てるための温室があり、冬でも(ある程度は)自給自足。用意されていた食事はベジタリアンで、ヒヨコ豆のスープと美味しいパンだったと記憶しています。トイレも水洗ではなくおがくずを使うバイオトイレ、この時が人生で初めての経験でした。

彼らはヒッピーなのではなく、ニューヨークから来たアースコンシャスな知識層なんだろうなという感じを受けました。農場主と彼らの他に数名の友人が集まりました。性別も年齢も様々な友人関係はアメリカで沢山目の当たりにして、私にはカルチャーショックでした。

夕食と歓談の後は、総勢8名ほどで、クリスマスキャロリングへ繰り出しました。クリスマスキャロリングとは、近所の人達のお家をノックしてドアを開けてくれた場合には、玄関先でアカペラでクリスマスソングを歌います。歌を歌ったら、「メリークリスマス!」と言って去ります。何曲か歌詞を書いた紙を用意しておいて、夕食の時にみんなで練習しました。

みんなで「あの家にしようか」「あの家は不在なんじゃない?」と話しながら、近所をそぞろ歩いたのはワクワクとドキドキが混ざった感じでした。実際には思ってた以上に、みなさんあたたかく迎えてくれました!家の中に招き入れて少し立ち話をさせてくれる家もありました。

これはアメリカ人なら誰もが知ってる伝統だけど、今はほとんどの人がやらなくて、みんなで「今年からやろう!」と集まってやったみたいです。
これはもう5年前の話です。
今のアメリカでは、クリスマスキャロリングってみんなやっているんでしょうか?寒かったけれど、心は嬉しくてはずんでいる、そんな夜を過ごしました。
Akiko Y.P

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