“治安の悪い”ブラジルに嫁いで1年。それでもここに住むたった1つの理由。

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こんにちは。あき子(@sleepycitybugs)です。日本からブラジルに嫁いで1年と少し経ちました。

「ブラジルは治安が悪い」とよく言われます。本当にそうだなぁと思います。色んなニュースを目にします。私が住んでいる市内でも、強盗や誘拐未遂などあります。

その度に、日本大使館からメールが届きます。「こんなことがありました、気をつけてください、もし遭遇した場合は抵抗しないでください。」と書かれてあります。

こんな日常に最初はクラクラしました。いまでも新ニュースを目にする度に、本当にここにいていいのか、夫と話し合っています。

これが現実で事実ですが、私はしばらくはここにいようと思ってます。

その理由は、私の日常にあります。たとえば、ここでは、タテマエがありません、コミュニケーションはホンネのみ。嫁いびり、といえば日本でももう死語かもしれませんが、夫の母親との緊張感などありません(むしろ私が義母からのメールを無視っています苦笑)。

旦那は残業しません。時間があるし将来のことも考え、最近彼はは大学に通い出しました。日本語を学んでいます。大学の前は経営学を学び資格を取りました。

私は、とにかく眠りたい時に、眠りたいだけ寝れる生活を送っています。友達が少なく自分の用事がない、仕事は在宅なので基本的にずっと家にいる、という背景があります。あらゆる要素が消去法でこうなっただけなので、「ここがブラジルだから、寝れる」という訳ではありませんが、日本ではできなかったことがここで実現できています。

思いっきり眠った後は、気分が爽快で、その日一日軽快に過ごせます。日本で暮らしていても寝たいだけ寝れるか?といえば、私にはそんな自信がありません。

● 治安の悪いこの場所で、行動範囲は限られながらも、寝たいだけ寝ている。
● 治安が世界一良い場所で、一人で24時間どこにでもいけるけど、毎朝7時に起きなきゃいけない。

10年後、私の心身がどちらの生活に感謝するだろうか、と考えた時、答えはハッキリでません。

「ブラジルさいこー!」とは、正直なかなか言えません。ですが、昨日、近所のボテコ(boteco、日本で言う居酒屋のような、ビールも飲め食事も取れる処)でこの光景を目にしました。

おじさんグループも、若いカップルも、女性グループも、おじさんお一人様も、マンゴーの樹の下で、それぞれ思い思いの土曜の午後を過ごしています。

私も、夫と一緒に、この空気感に違和感なく混ざり込み、ビールを飲みブラジル式定食を食べていました。お腹いっぱいになって、ビールもう一本だけ頼もうかなどと話しながら。マンゴーの樹の下で。

何十年も営業を続けているこのボテコは、THE・ブラジルの日常生活を住人の目線で味わえる場所です。が、初めて夫にここへ連れられて来た時、私は今とは全くちがって、「なんちゅーとこへ来ちゃったんだろう。」とおびえてしまいました。

何十年も使い込まれたために、拭いても拭いても汚れているテーブル、メニューは肉の塊ばかりで頼みたいものがひとつもなく、半分屋外なので身体が冷えても“熱いお茶”など用意もなく。泣きそうでした。(体温が高い夫や肥えた人が多い場所で、「寒い」と言ってもなかなか理解されなかった)

ブラジル式の定食。米、チキン、サラダ、フライドポテト、ファロファというキャッサバ芋の粉末。米には豆の煮込みをかけて食べます。

肉食大国、ブラジルです。お肉おいしいです。

それが今では、薄汚れたテーブルは、“粋”や“味わい”と思え、肉の塊にしか見えなかったメニューは、各部位ごとの違いが分かるようになり、今日の気分に合わせては何食べようか?という楽しみに。いつでも羽織りものやストールを持ち歩き、独自の寒さ対策も身につけました。

1年前には心細かった光景を、くつろぎながら観れた時、「私の移住は成功だったなぁ。」とふと思いました。

喜怒哀楽すべての感情がそれぞれMAXまでに振り切れた、と思うほどの経験をした、何とも濃い1年間。何十年か先に人生を振り返った時に、私は私に良い経験させてあげられたと思うと思いました。

貧困層の人が多く、レストランで食事をしていると「お金をくれないか」と言ってはテーブルを回る人がいつでもいます。妊娠した母親と10歳位の男の子が2人で、土曜の夜に回っていることもありました。とてもショックをうけました。それに、誰もショックを受けていないことに、さらにショックを受けました。

こんな現実は事実としてあります。新興国ブラジルに住むということは、こういうことなんだなぁ、とつきつけられる思いがします。

ただ、昨日のボテコで感じたような幸福感は私の中で確実なものになってきたようです。

今までは、ヨーロッパや北米在住の方がシェアしている日常の風景がまぶしく、何ともいえない羨ましさがありました。

今でもやっぱり美しいものは美しく、先進国だし治安だってブラジルよりは良さそう、、、、と思う気持ちはありますが、羨ましいか?と言われれば、「あれ?もうあまり羨ましくはないぞ」と。

私が望んでいるのは、美しい場所で暮らすということではなく(そりゃいつかは暮らしてみたい憧れの地はたくさんあるものの)
世界中のどこであっても、美しく生きてみたいということでした。
美しく生きるとは、背筋を伸ばし、ほがらかに過ごす、ということです。

「汚い言葉を使わない」とか「ルールを守る」とかそういう表面的なことではなく。

そして、夫に愛情を伝えながら、彼と一緒に生きて行きたい。

何ともクサいですが、生臭い自分自身を見つめた1年間のあとに残った、私の気持ちはコレでした。

好きな場所に暮らすこと、すごく大事です。
私も今まで散々好きな場所で暮らして来ました。

でも今は、好きな人といることの強さを知り始めています。
(面倒くささもセットで、ですが。)

好きな場所に一人で住んでいたときには知らなかった、今この暮らしの延長線上に、もっと力強い将来へ繋がるはず!という感じが、あります。

それに、「ブラジルに遊びにおいでよ、サイコーだよ!」とはまだまだ気軽に言えない私ですが、昨今の世界情勢を思えば、日本にいた方がぜったい安全だし、ヨーロッパや北米にいた方が良い暮らしできるかと言えば、それもよく分かりません。

photo:fancycave

ブラジリアにある、ミネラルウォーターの公園のプール。

暮らすとなると、それぞれに良いところ・悪いところあります。どこに自分の軸を置くか、なんだと思います。私の場合は、ブラジルに来てから、それを考える時間の余裕と、視野の広さが与えられた、ということのようです。

“ヤッホー!”

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ブラジリアより、
あき子

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コメント4件

  • Masako より:

    あきこばんざい!!
    いつもながら、スカッとする記事をThank you!

  • sleepycitybugs より:

    Masako, yeah!
    コメント、励みになるんだよ〜!ありがとう!!!

  • aiogata より:

    読んでるよ!読んだよ!ミネラルウォーターのヤッホー!すごくいいじゃん!

  • sleepycitybugs より:

    ありがとう!
    水がキリッと冷たくてね、気持ち良かったんよー!!

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